固形臓器移植に伴う深在性真菌症の管理

摘要

実質臓器移植後における感染症は，拒絶反応とともに常に臨床医が注意を払うべき合併症である．臓器移植後にみられる深在性真菌症の特徴として，ウイルス感染症や細菌感染症と比べて発症頻度が低いにもかかわらず，致死率が高いということがあげられる．その理由として，患者は移植治療を受ける時点で臓器不全に伴う感染防御能低下状態にあり，外科的治療に免疫抑制療法という宿主の免疫能を低下させる病態が加わる．発症しても早期診断のむずかしさに加え，抗真菌薬の選択の幅は広いとはいえない．予防的抗真菌薬投与についてもエビデンスと呼べるものが少ないのが現状である．