アトラクター構造が自己組織化制御の環境変化に対する適応性および収束時間に与える影響の評価

摘要

我々のグループではトラヒック変動やネットワーク機器の障害などの環境変化に対して適応的に仮想網を再構築する自己組織化制御を提案し、その適応性の高さを明らか堕してきた。提案手法は、生物の環境変化に対して適応的に振る舞う様子をモデル化したアトラクター選択を応用した制御方式である。提案手法の環境変化に対する適応性および適応するまでの時間である収束時間は、アトラクター構造に依存することがわかってきた。ここでは、アトラクター構造は、アトラクター選択を力学系として見たときの安定な均衡点の解空間上での位置や均衡点の数を意味する。本稿では、アトラクター構造が自己組織化制御の適応性および収束時間に与える影響を評価する。シミュレーションにより、アトラクター構造を動的に再構成することで、平均的に約22％制御の収束時間を短縮できることがわかった。また、アトラクター構造中のアトラクター数を増やすと、制御が成功する確率が上昇し、制御の収束時間が短縮する。さらに、アトラクター数が一定数以上であれば、高速な収束を実現できることがわかった。