ホットプレス用アルミめっき鋼板の諸特性と形状凍結性

摘要

本報告ではホットプレス用アルミめっき鋼板の母材特性，表面特性およびホットプレス成形材の形状凍結性について概説した。 母材特性に関しては，プレス成形時の金型焼入れで20℃／s以上の冷却速度が確保できれば1500MPa程度の強度を有する部材が得られることを述べた。 スポット溶接性に関しては，表層のアルミめっきがプレス前の加熱で融点の高いFe-Al合金相となることに起因してめっき層の存在による劣化はないことや連続打点性に優れることを示した。 また耐食性に関しては，Fe-Al合金相はめっきを施していない鋼板より優れ，通常自動車の防錆鋼板として使用される合金化溶融亜鉛めっき鋼板と同等の特性を有することを示した。 また，ホットプレス工法の形状凍結性が冷間プレスと比較して極めて優れており，成形後にマルテンサイト変態する場合に良形状凍結性を示すことが明らかとなった。 この理由としてマルテンサイト変態により成形時に導入された残留応力が緩和する可能性が考えられた。 以上のような特徴をもつ鋼板をホットプレスに適用することで，比較的複雑な形状をもつ高強度で耐食性に優れた部材の製造が可能となる。