水素エネルギー社会の実現を目指して -高温ガス炉開発への取り組みを探る- 第1回高温ガス炉の研究開発の歩み

摘要

次世代の原子炉として高温ガス炉への期待がここへきて急速に高まってきた。 この高温ガス炉は、その高い安全性や多目的利用が可能なことなどから、軽水炉に続く発電炉としてだけでなく、燃料電池の燃料などとなる水素を高温の核熱利用により、二酸化炭素（CO{sub}2）を排出せずに大量かつ安定供給できる水素製造法の"切り札"としても世界各国の注目を集めている。 同分野では日本原子力研究所が大洗研究所（茨城県）で高温工学試験研究炉（HTTR）を開発、熱化学法ISプロセスによる水素製造のパイロット試験に向けた研究開発を加速させるなど世界をリードしており、米エネルギー省（DOE）の協力要請を受けて、高温ガス炉水素製造システムめ共同研究に乗り出すこととした。 経済産業省でも水素利用による燃料電池の普及拡大を由るための検討を殆める一方、日本原子力産業会議は国に対して高温ガス炉の実用化に積極的に取り組むべきとする提言そ行う方針だ。 こうした動向を踏凍えて、本企画では来る乍き水素エネルギー社会実現の鍵を握る高温ガス炉の研究開発の足跡をたどるとともに、現在の取り組み状況や実用化に向けての課題などを、3回シリーズで探ってみることにした。