N. Wienerの定書に始まる一般調和解析(GHA)は,今日では被分析信号に正弦波テンプレートマッチングを行い非調和解析を行う形で実用化が達成されつつある.GHAは長い間数学の理論として位置付けられて工学的応用の試みはなかったが,1994年に平田氏により計算量を低減した効率的なGHAアルゴリズムが発表され,更に1998年に平田自身によりその高速化案が示されて現在に至っている.しかし,このアルゴリズムでは分析フレーム長によって実質的な最低周波数が決められるとの問題があり,その周波数以下の周波数成分に対しては精度が急速に悪化する.そこで平田によって提案された新規なテンプレート対を用いたところ,被分析信号が単一正弦波の場合には上記の最低周波数以下でも正しく分析される事が確認された.しかしながら実際の音楽信号に対しては,低い周波数範囲の周波数成分に対する精度改善は必ずしも達成されなかった.
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