カーボン系すり板の技術動向

摘要

カーボン系パンタグラフすり板に関する開発の経緯，現状および今後の動向．パンタグラフすり板とは，電気車の屋根上に設置されているパンタグラフの最上部に取付けられているもので，トロリ線としゅう動しながら電車の走行に必要な電力を受け取る部品である．すり板に要求される主な特性としては(1)電気車の走行に耐える十分な機械的強さを有する（最高速度130～300km/h）；(2)良好な電気伝導性を有する（数十～千数百Aを集電）；(3)良好な耐摩耗性、耐アーク性を有する（寿命10,000～100,000km）；(4)相手材であるトロリ線を摩耗させない；(5)環境に対する影響が小さい（しゅう動音、摩耗粉）；(6)雨、雪、霜などの天候の影響を受け難い等が要求される．現在，すり板として使われている材料としては，金属系材料とカーボン系材料がある．ここでは，各種すり板材料の特徴を概観し，近年使用量が増加しているカーボン系すり板の開発の経緯，現状および今後の動向を紹介する．