単純接触効果が日常生活に現れる可能性－カラー柔道着を用いた検討

摘要

単純接触効果については，筆者らは先に第1～第4研究の4つの研究を行い，衣服に対しても単純接触効果が出現することを見いだした．さらに第5研究である「カラー柔道着における単純接触効果～衣服の色彩の側面からの単純接触効果への接近」の研究では衣服の色彩という側面から接近した結果，刺激対象が女子柔道着の女子被験者に単純接触効果が出現する結果となった．本論文は，同じく衣服の色彩に対する側面から単純接触効果を論じたものではあるが，今までの研究との違いは，実験的操作を加えていない，という点が挙げられる．すなわち，この研究ではカラー柔道着（青）の印象の変化を題材にして，自然な日常場面において果たして単純接触効果が出現する可能性があるのかどうかを検討する．実験的手法に比べ，様々な要因が混入する可能性はあるものの，年月の経過による好感度の変化に中に単純接触効果が関与していないとは言い切れないであろう．また実験的手法による単純接触効果の研究でも，実験で操作している対象をより意識しない状況の方が，効果が出現しやすい傾向にある．そこでカラー柔道着を対象に，色という側面から印象の変遷を調査する中で，自然な形の単純接触効果の出現があるかどうかを検討する．