告発アルゴリズムのスコア分布を考慮したTardos符号の検出性能の改善

摘要

D．BonehとJ．Shawは結託攻撃に耐性のある結託耐性符号の最も基本な符号としてBoneh-Shaw符号を提案したが，その符号長はあまり冗長である．Tardosは結託耐性符号であり，Boneh-Shaw符号より短いTardos符号を提案したが，その符号長も未だ冗長である．磯谷らはTardosによって評価された符号の誤り率をより厳密に評価し直し，Tardosによって定められていたアドホックなパラメーターと符号生成確率分布を最適化することにより符号長の短縮を行った．本研究は磯谷とは異なる点に着目し，符号長と告発アルゴリズムの無罪ユーザと結託ユーザのスコア分布の関係を実験よって導出した．この実験によって，無罪ユーザと結託ユーザのスコア分布は符号長におおよそ正比例していることがわかった．これらを考慮して，告発アルゴリズムの判定閾値を変更することにより，従来の符号では検出できなかった設定以上の結託ユーザ数に対して，大幅に検出可能になった．