7000系アルミニウム合金押出形材における3点曲げ試験シミュレーション

摘要

自動車会社では，車体重量の低減による燃費の向上や車両構成部品リサイクルを目的として，各種自動車部品のアルミ化を積極的に進めている。 近年，乗員保護に関する基準は厳しくなる傾向にあり，アルミニウム合金を自動車部品として採用するためには，要求される安全性能を満足する必要がある。例えば，側面衝突時のエネルギーを吸収するためにサイドドア内部に装着されるドアビームには，優れた曲げ特性が要求される。 アルミニウム合金押出形材の特徴の一つとして，断面形状設計の自由度が高いことが挙げられ，ドアビームにアルミニウム合金押出形材を採用する場合，優れた曲げ特性を得ることのできる適切な材質及び断面形状を選択する必要がある。 ここで，初等解法等を用いた断面形状検討では，断面が変形した場合や材料の塑性域における曲げ特性を正確に予測することは困難である。 FEM解析を用いたシミュレーションにより3点曲げ試験を再現することで，正確な曲げ特性を予測可能である。 シミュレーションによりドアビームの断面形状を検討した事例はあるものの，基本的な断面形状因子と曲げ特性の関係は明確になっていない。 ここでは，7000系（AL－Zn－Mg系）開発合金の使用を前提とし，基本的な断面形状因子と曲げ特性の関係をシミュレーションにより調査した。また，検討した断面形状について試作，実体試験を実施した。