深在性真菌症―今後の展望

摘要

移植医療や抗癌化学療法に伴う免疫不全宿主の増加によって，深在性真菌症の患者数は増加傾向にある．わが国の剖検時疫学統計である剖検輯報においても，1990年代以降，深在性真菌症は増加しており，最近の特徴は，死亡時にはカンジダ症よりアスペルギルス症の頻度が高いことである．2002年のmicafunginに続き2005年にかけて新規抗真菌薬の発売も予定されている．2003年にはわが国でも深在性真菌症ガイドラインも作成され，深在性真菌症の診断と治療に関する関心が高まっている．本稿では，深在性真菌症の現状と今後の展望に関して概説する．