品質が管理されたIネットワークの出現とともに,IPネットワークを用いた映像通信サービスが普及しつつある.それに伴い,インサービスでエンドユーザが体感する品質(QoE:Quality of experience)を管理することが重要視されている.QoEを低下させる要因はネットワークのみではなく,端末にも存在する.よって,QoEを把握するためには,端末における品質劣化要因を含めたQoEの定量化が必要となる.また,ユーザごとのQoEを把握するには,端末に組込み可能な技術が適している.その点で,パケットのへッダ情報を用いた軽い解析処理でQOE推定を実するパケットレイヤモルが適している。従来検討では,伝送路上で発生するパケット損をとらえ,QoEを推定する手法が提案されている.しかし,伝送路上で発生するジッタや各IPパケットが保持する映像構成情報の違いによるQoEへの影響は,いずれの検討でも十分に考慮されていない.本論文では,端末のバッフアサィズを推定することで,ジッタによって欠落するパケット(無効パケット)を推定するとともに,無効パケットが属する映像フレーム種別に応じた劣化伝搬長(無効フレーム)をとらえることで,QoEへの影響を定量化した.また,IPテレビ電話及びIPTVを対象とした実験にて,本手法で高精度のQoE推定が可能であることを明らかにした.
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