交流電位差法による複数き裂検出法の開発

摘要

ガスタービンの動·静翼をはじめとして，高温で低サイクル疲労やクリープ疲労負荷を受ける部材の損傷は，き裂の発生·伝ぱによることがある．このような部材の健全性評価や寿命延伸のためには，き裂長さや深さの正確な評価法の開発が重要な技術課題となる．これまで，上記部材のき裂計測には目視法やレプリカ法が用いられてきたが，これらの手法は部材表面でのき裂長さは計測可能であるが，き裂深さの計測は困難である．また，ガスタービンの動·静翼の表面には厚さ200μm～300μm程度の耐食や耐熱コーティングが施してあることがあり，200μm～300μm程度のき裂深さを正確に検出できる検出法の開発が動·静翼の保守や寿命延伸の点から強く望まれている．とくに，ガスタービン翼面をはじめとして，高温で使用される機器においては，高温低サイクル疲労やクリープ疲労などによって複数のき裂が発生·伝ぽすることがある．このことから，複数き裂に関する評価法の開発が重要となる．本研究では，ガスターゼン動·静翼等の高温機器の表面に発生するき裂損傷評価を行うため，交流電位差法によるき裂本数とき裂深さ検出法の開発を目的とした．深さ0.05mm～0.5mmの模擬き裂を1～5本有するInconel738LCの角柱試験片に，200Hz～5000Hzの交流電流を通電し，交流電位差の周波数依存性を通じてき裂本数とき裂深さの評価法について検討した．