ITU-R F.1704で勧告化されたメッシュ型トポロジーをもつMP-MP型FWAシステムにおけるルートダイバーシチ効果

摘要

準ミリ波帯やミリ波帯を用いる広帯域FWAシステムは，有線系のブロードバンドアクセスネットワークを補完する大容量のアクセス回線として期待されている．しかしながら準ミリ波帯やミリ波帯といった高い周波数帯を扱うことから，降雨減衰による回線品質の劣化やそれに伴う稼動率の低下が大きな課題であった．この課題を克服するために，筆者らは，P-P型の無線リンクを有機的に結合したメッシュ型のトポロジーをもつMP-MP型のFWAシステムを提案し，メッシュネットワーク上で得られるダイバーシチ効果を定量的に示すことにより，システムの有効性を示した．この結果，提案システムは，無線通信に関する標準化の研究や勧告の作成を行うITU-R（International Telecommunication Union-Radiocommunication Sector）にてF.1704として勧告化された．本論文では，勧告化の骨子となったダイバーシチ効果の理論的な評価と屋外実験ネットワークから取得した実データによる評価例を示し，提案システムにおけるダイバーシチ効果の有効性を示す．