社会調査で用いられる手法について: 調査票調査の実施手法を主眼として

摘要

有斐閣の『新社会学辞典』によると，社会調査とは，「実際の社会的場面における人間行動に関するデータを収集し，それを解析することによって，対象とする人間行動について記述と説明をすること。」（『新社会学辞典』有斐閣）とされている。本解説でも，人間の行動（及び考え·価値観など）に関して対象者とのコミュニケーションを通じて，実証的，客観的なデータを収集し，記述と説明を行う手法を社会調査として位置付けて解説を行う。社会調査の手法には，調査票調査（アンケート調査）をはじめとして，聞き取り調査，参与観察などが存在するが，本解説では，大量観察をもとに問題や因果関係を数量化して統計的に分析が可能であり，多くの学術的調査や実務的調査で用いられている調査票調査を主眼として解説する。また，調査票調査における集計·分析手法は，調査の目的によって様々であり，既に多くの解説が存在することから，本解説では調査票調査全般に共通する調査実施に係る標本数の設定方法，調査票の配布·回収手法を主に解説する。