新幹線鉄道騒音に関する社会調査

摘要

住民反応に対する騒音発生回数の影響に関する既存知見については，交通騒音の暴露反応とその発生回数の関係に関する文献において示されている。Riceは，航空機騒音レベルと発生回数との相補関係を調べるための大規模な実験室研究を実施し，アノイアンスは，1時間あたり20回超の範囲ではNNI（騒音レベルに騒音発生回数の補正項を加えた指標）コンセプトにかなり合致しているが，一方，騒音発生回数が小さい範囲（1時間あたり4～8回）ではピーク騒音レベルコンセプトにより説明し得ることを明らかにしている。また，Rylander）は，航空機騒音に関するアノイアンスが増加する限度について，最初は騒音発生回数の増加に応じてアノイアンスが増加するが，概ね70回／日以上においては騷音発生回数の増加がアノイアンスの増加を引き起こさないことを確認し，ある一定の水準を超える騒音発生回数の増加はアノイアンスの増加にはつながらないということを考察している。本報では，新幹線鉄道騒音の社会調査及び実測調査の実施概要，新幹線鉄道騒音の騒音レベルや列車本数とアノイアンス等との関係の分析結果について報告する。なお，弊社は，環境省請負業務において，2017年の社会調査及び実測調査を実施し，新幹線鉄道騒音の暴露反応関係の分析を行った。