4.臨床輸血看護師の活動の現状と存在意義をアピールするために

摘要

日本輸血?細胞治療学会では学会認定看護師として2010年から「臨床輸血看護師」「アフェレーシスナース」2009年から「自己血輸血看護師」を育成し輩出している.臨床輸血看護師は2022年9月現在で全国に1300人以上存在し活躍している.2017年に発表された「輸血チーム医療に関する指針」ではその役割について,輸血療法委員会や医療安全対策委員会などに参加し，ベッドサイドにおける輸血医療の安全性を確保するための体制作りを行うこと?看護師対象の輸血研修を計画?実施すること?各部門への輸血教育への支援を行うことなどを挙げている.全国で活動内容を報告されている例を見るとインシデント対策やシステム構築?新人及び現任教育?合同輸血委員会活動が主な内容であり，目的に沿った活動が行われていることが示唆される.一方で部署異動により関わらなくなった?自部署以外での活動は周囲に理解が得られがたい状況にあり積極的に動くことができないうちにモチベーションが低下してしまうなど，資格を取得しても活用方法が見いだせない状況にある有資格者も少なくない.当院では輸血細胞治療部門専任の臨床輸血看護師が「輸血実施に関する相談窓口」として平日の時間内はリアルタイムに対応している.また，輸血関連のインシデントやアクシデントに対して輸血現場と連携をとつて共に対策を模索している.これらの活動で得られた情報は輸血現場が求めるニーズでもある.今年度より各部署に配置された医療安全ナースを通してこれらの情報を全ての現場にフィードバックできるシステムを構築した.本シンポジウムでは臨床輸血看護師の存在意義をアピールし，活躍の場を広げるヒントを模索したいと考えている.