siRNA結合ナノパーティクルを用いた 膠芽腫に対する標的遺伝子治療法の開発

摘要

難治性の原発性脳腫痛である膠芽腫において.惠 い造腫痛性を示す腫痛幹細胞が存在し，化学療法 や放射線治療に対して低い感受性を示すことが腫 瘍再発や治療抵抗性の原因となっている。この腫 瘙幹細胞を排除する治療法を開発するために，幹 細胞特異的に機能する標的分子を効率的に阻害することが必要である。siRNAは，任意の標的遗伝 子を阻害可能な分子であるが，生体内では安定性 が低L、欠点があり，機能するためには幾つかの陣 壁を克服する必要がある。近年，ナノパーテイク ルを用いたSiRNAのデリバリ一による遣伝子治 療法が確立されつつある。我々は，siRNAの腫瘻 細胞へのデリバリーにキ卜サンを主成分とするナ ノバ一ティクルを用いて.脳腫瘙の幹細胞の増殖 を制御するCD146遣伝子を発現抑制し，マウス 脑腫瘍モデルを完治せしめた。今後，様々なナノ パーティクルを用いたsiRNAのデリバリ一によ る遺伝子治療法の発展が期待される。