和楽庵(旧稲畑勝太郎邸洋館)移築再生プロジェクト

摘要

切妻屋根に「寿」の透かしが見える大型鎧戸,腰にはナグリ板と蠆股.京都盆地北東部の松ケ崎の地,京都工芸繊維大学キャンパスに,異彩を放ちながら佇む洋館がある.設計は,本学の前身である京都高等工芸学校教授であった建築家?武田五一.大正4(1915)年,後に「何有荘」と呼ばれる南禅寺界隈の稲畑勝太郎別邸「和楽庵」内に建てられた.禾ロ楽庵は,稲畑夫妻が招く要人達が集う,国際的文化的交流の場であった.こうした伝統と革新,地域と世界が同居した性格は,本学が掲げる領域横断,異分野融合の理念や方向性と一致していた.そこで,本学開学120周年?創立70周年を機に移築されるに当たり,この洋館を,改めて「和楽庵」と名付け,伝統とテクノロジーが融合した本学ならではの試みである,移築再生プロジェクトがスタートした.