エッセイ No.281 魔法使い弟子

摘要

2018年10月15日のDIGITAL版朝日新聞に、『唐十郎さん「幻の第一作」見つかるシナリオと小説原稿、明大図書館で展示』という記事力掲載されました。1961年明大在学中に書いたと思われる作品で、記事には原稿の一部の写真が添えられてあります。これを見る限り普通の原稿用紙に縦書きされています。書式も普通。カレンダーの裏に書き始めたのは、「犬を連れた奥さん」の台本を書く時からだつたと思われますが、横書きするようになったのはいつからなのか、発想のきっかけは何だったのか。どんなプロセスを経て独自のスタイルが完成されていったのか。原稿の書き方にユニークで独自の手法が試されているだけでなく、舞台演出のイメージと分かちがたく結びついていると思われ、書いた本人がご存命の内にこそ、手書き原稿の収集と本格的な研究がなされることを期待したいところです。唐十郎の作品は戯曲だけでなく小説についても、もっと注目、評価されていいと思います。