新型コロナワクチン導入の効果と今後の課題

摘要

わが国では2021年2月から新型コロナワクチンの医 療従事者への接種,4月に高齢者への接種が開始された 自治体や医師会の連携,行政の支援が進み,5月頃から 接種は本格化し,1日100万回を超えるスピードで接種 が行われた.企業などによる職域接種も実施され,10 月上旬までに供給されたワクチンは,対象人口の9割 が接種できる数量に達した.ワクチンの2回目接種を 終えた者は2022年1月7日時点で78.4, 65歳以上で は92.1である.ワクチンには発症予防,重症化予防の効果が確認さ れ,一定の感染予防効果を示す報告も成された.日本 での発症予防効果については,ワクチン2回接種14 日以降で87程度とする報告がある.最も重症化リス クの高い集団である高齢者の約9割が2回の接種を終 えていた2021年夏の第5波では,感染者数の増加に比 して重症者数や死亡者数の増加は少なかった.また, 感染者や死亡者に占める高齢者の割合は低下した.