博物館の標本保存技術道路の防草や漏水防止に応用

摘要

アスフアル卜の隙間に生える雑草。狭い部分に生えるから抜きに<いし、メIIってもすぐに生えてくる。この悩ましい道路の防草対策に、シリコーン塗料が効くというから驚きだ。兵庫県立人と自然の博物館の三橋弘宗主任研究員は、プラステイネーション技術という標本保存技術を応用して、道路や港湾の防草対策に役立てている。手法は簡単。道路の継ぎ目やコンテナヤードのアスフアル卜の隙間など、雑草が生えている場所にシリコーン塗料を注入して、自然に硬化させるだけ。農業用水路の目地に充填すれば漏水を防ぎ、水の有効利用にもつながる。プラステイネーション標本は、博物館には当たり前にあった技術だが、視点を変えるだけで、思いもよらぬ分野で役に立つ。「お金をかけずにインフラをメンテナンスする。小さな知恵が社会のレジリエンスを高める」と三橋先生は言う。