帝王切開の症例分析と失位整復による 帝王切開回避の試み

摘要

帝王切開（CS)は牛，農家，獣医師にかかる負担が大きい。今回，子宮捻転，難産，気腫胎症例を 対象として，CS実施症例を精査し，手術回避の可能な症例と改善策を検討した。CS実施例では乳牛 は子宮捻転，胎子失位および陣痛.産道異常が多ぐ肉牛は胎子過大，胎子失位が多かった。治癒率 および受胎率はCS実施症例において有意な低下が認められた。病態と発生頻度から胎子失位症例が 回避検討症例と判断し，ペグを使用し失位整復を試みた。ペグを使用することで従来のCS適応症例 においても失位整復が可能となり，試みた6症例は全てCSを実施することなく胎子を摘出できた。胎子失位症例に対するペグ使用法は有効であり，CS実施の回避につながると考えられた。