P-3 臍帯血移植後再発に対し化学療法のみで長期寛解中の節外性NK/T細胞リンパ腫,鼻型の1例

摘要

【緒言】進行期extranodal NK/T cell lymphoma, nasal type （ENKL）に対する同種移植で長期生存が 得られる症例は一部に限られており（Suzuki,BMT2006）, SMILE療法の導入と共に経時的な改善が 見られるが未だ予後不良疾患である（Yamaguchi,Ann Hematol2019）.移植後再発例に関しては報告 例も皆無であり標準治療法は確立していない.今回臍帯血移植後に再発したものの化学療法のみで長 期寛解が得られている症例を経験したので報告する.【症例】43歳男性,X年7月右顔面腫脹を機に,上顎洞生検を行いENKLStage4 （右上顎洞,頭皮, 肝脾腫）と診断.化学放射線療法（2/3 DeVIC療法3コース+強度変調放射線治療50.4Gy）で完全奏効 （CR）達成.SMILE療法2コース追加後,LEED療法を前処置とした自家末梢血幹細胞移植を実施. X+2年8月,左下鼻甲介に再発SMILE療法2コースでCR達成後,Flu/Mel140/TBI 4Gyを前処置 として臍帯血移植を実施.X+3年12月,臍帯血移植後13ヶ月時点で左頚部?腹腔内リンパ節に再発. X+4年1月,SMILE療法2コース追加で再度CRを達成.長期生存のため再移植を提示したものの患 者希望で行わず,その後現在まで2年半以上寛解を維持している.異性間FISH法では完全donor型造 血を維持.軽度の皮膚慢性GVHDが出現?持続し 血中EBV-DNA量は870 -19000 copy/m!の範囲 で自然増減を繰り返している.【考察】再発?難治性ENKLは化学療法のみでは全例長期生存が望めないため可能であれば同種移植 を目指す.今風臍帯血移植後再発に対して救援化学療法のみで再移植を行わずに長期寛解中の稀有 な症例を経験し,持続的なGVL効果の可能性が示唆された.