臍帯血移植が有効であった多発血管病変を伴う慢性活動性Epstein-Barr virus感染症

摘要

症例は18歳,女性。発熟と肝障害あり,CTでリンパ節腫大と肝脾腫,冠動脈を含む動脈の瘤形成や広狭不整を認めた。末梢血印stein-Barr virus(EBV)-DNA量高値,感染細胞がCD4+T細胞,骨髄でのEBER陽性細胞の増生が確認され慢性活動性EBV感染症(CAEBV)と診断した。免疫抑制療法と多剤併用化学療法により発熟と肝障害は改善したが,EBV-DNA量は減少せず,冠動脈病変による狭心症発作が頻発した。そのため強度減弱前処置により同種臍帯血移植を行った。前処置後,EBV-DNA量は低下し,移植後7日目に検出感度未満となった。移植後は血管病変の進行は止まり,狭心症発作なく経過し,移植後2.5年経過し,無病生存中である。血管病変を伴うCAEBVは特に予後が不良となる。同種造血幹細胞移植の適応の判断は難しいが,我々の症例の経過から適切な管理により施行可能であり,CAEBVおよび血管病変のコントロールが可能になることが示唆された。