ST-2-3 トレーサビリティの確保された新しい血液情報収集システムの開発と応用

摘要

輸血における副反応発生の原因を恒常的?体系的に調査検討するためには,供血者の選択から受血者 の転帰まで（Blood transfusion chain）を追跡できるトレーサビリティシステムを構築することが最も 有用な解決策となる.日本では,輸血製剤の原料の採血は,日本赤十字社が一社で行っており,chain の前半部分（供血者の選択から医療施設への供給）に関する情報の収集と管理は十分に確保されてい る.しかし,chainの後半部分を構成する医療施設の情報の収集と管理は,各医療施設まかせで標準化 されていない.そこで日本輸血?細胞治療学会では「輸血副作用の症状項目ならびに診断項目表」を 輸血副反応報告の基準として掲示し各医療施設での利用を推奨するとともに,2007年より「輸血製剤 副作用情報収集システム」を構築し,システム参加医療施設が使用した輸血製剤の製剤数と標準化さ れた副反応情報を収集,解析してきた.