SC-1-1 COVID-19 の臨床像

摘要

新型コロナウィルス感染症の潜伏期は14日以内であり,多くの症例が曝露から概ね5日で発症する. 多くの有症状者で発熱,呼吸器症状（咳嗽,咽頭痛）,頭痛,倦怠感などのインフルエンザ様症状がみ られる（ただし鼻汁や鼻閉の頻度は低いと考えられる）.下痢や嘔吐などの消化器症状の頻度はメタ解 析では下痢13,吐き気/嘔吐10,腹痛9となっており,SARSやMERSよりも少ないと考えら れる.臨床症状はインフルエンザや感冒に似ているが,嗅覚異常?味覚異常をみられることがあるの が特徴である.10の研究を対象にしたメタアナリシスでは嗅覚障害,味覚障害の頻度はそれぞれ52, 44であった.インフルエンザ様症状に加えて,嗅覚異常?味覚異常があれば,新型コロナウィルス 感染症の可能性が高くなるかもしれない.また経過が特徴的であり発症から1週間程度は軽症のこと が多いが,一部の症例では発症から1週間程度で酸素投与が必要となり,さらに重症化する事例では 10日目以降に集中治療室に入室という経過を辿る,というのが典型的な経過である.