7.多彩な全身症状を呈したHIV関連びまん性大細胞型В細胞性リンパ腫（DLBCL）

摘要

42歳,男性。両下肢多発単神経炎,多発リンパ節腫脹,体重減少，網状皮疹の精査目的に当院を受診。血清総蛋白/アルブミン 9.6/3.8 g/dl, IgG 3,459mg/dl, IgM 1,346 mg/dl, CRP0.14mg/dl,白血球数4,300/μl（好中球69,リンパ球16）,可溶性IL2受容体4,480U/ml. FDG-PETでは全身散在性の小リンパ節病変,軽度脾腫,十二指腸,肺にFDG異常集積を認めた。十二指腸びらん性病変の生検にてDLBCLが同定された。さらにCD4陽性リンパ球の著減を認め,HIV陽性を確認し,HIV関連多発単神経炎，持続性全身性リンパ節腫脹，高ガンマグロブリン血症を伴うDLBCLと診断。レジメンはVCRによる神経炎症状の増悪を避けるためR-CHP療法を選択し,抗HIV治療を同時に開始した。R-CHP療法6コース実施した後のPET-СТにてCMR獲得を確認し,現在外来にて経過観察を行っている。HIV関連リンパ腫は多彩な初期症状を呈しうるため,他のリンパ増殖性疾患や免疫グロブリン異常症との鑑別疾患として留意する必要がある。