低投入持続型農業の実現に向けたバイオスティミュラン卜の利用による土壊作リと水質浄化

摘要

第二次世界大戦以降の農業は、多肥、多農薬の投入と、これに適応した品種の開発によって大きな発展を遂げ、今日に至っている。しかし、「多肥(化学肥料).一多農薬の長期にわたる連用は、農地の疲弊を促し、近い将来、農業そのものを実施不能にする」と危惧する声が1900O年代から大きくなつてきている。その対応策として、米国を中心に、化学肥料や農薬への依存度を小さくし、自然生態系の力を借りながら環境と調和した農業、すなわち低投入持続型農業への移行が謳われるようになった。しかし、M年以上経過した今日においても、低投入持続型農業への取り組みは遅々として進まず、特効薬となる研究成果も得られていない。筆者の一人は、イネやコムギ、ダイズの有用遺伝子の探索とその機能の解析、ゲノム中を飛びまわるDNA断片(トランスポゾン)の分子進化学的解析などの遺伝.育種学研究に関わつてきているが、g年程前に、「農業生産への寄与は育種の役割が圧倒的に大きい以上)ものの、いくら育種家や育種学研究者が頑張っても、『土壌作り』なくして農業の永続性は保証できない」と考えるようになり、育種学研究の傍らバィォステイミュラントによる「土壌作り」と「水質改善」に関する研究も行うようになつた。