建築物における環境振動の設計に関わる現状: 特集にあたって

摘要

日本建築学会環境振動運営委員会では，従来の「建築物の振動に関する居住性能評価指針·同解説」「（以下，「評価指針」）のあり方を見直し，「評価」と「設計」を分離し，「評価」はより学術的な評価規準として，「設計」はより実際的な設計指針としてまとめるという方針を2013年ころに固めた。その後，「評価」に関しては，2018年11月に「建築物の振動に関する居住性能評価規準·同解説」（以下，「評価規準」）を出版した。一方，「設計」に関しては，その評価規準に準拠する設計指針として，2020年6月に「居住性能確保のための環境振動設計の手引き」（以下，「設計の手引き」）を出版した。ここでは，「評価」と「設計」の分離が決まってから「設計の手引き」の出版に至る数年間の議論を振り返りながら，建築物の環境振動設計に関わる最近の話題を紹介したい。