ビタミン編6-ビタミンK

摘要

ビタミン編の過去5回で 臨床検査でしばしば取り 上げられる主要なビタミンについて解説を行ってき た。脂溶性ビタミンは基本的に疎水性の物質であるこ とから,血中で移動する際に輸送担体（輸送タンパクな ど）に結合したり,移動体（リポタンパク質など）に内包 されたりする必要がある。このため,血中濃度はこの 輸送担体の生合成能に依存する部分がある。さらに, 生体内では体脂肪や肝臓などに蓄積することができ, 血中濃度を見ただけでは必要としているビタミンの過 不足を直接的に評価できていないことが多々あり,そ れぞれのビタミンの消化吸収,代謝といったものをよ く理解したうえで,血中濃度を判定していく必要があ る。牛において一般的な臨床検査で取り上げられる脂 溶性ビタミンはAとEであり,稀にDが取り上げられ ると考えて良いだろう。今回は,さらに測定の機会が 少ない脂溶性ビタミンとして,ビタミンKを取り上げる。