KISTEC におけるローカル5G(Sub6带）システム活用のための実験的検讨

摘要

ワイヤレス電力伝送や5Gの普及には、同帯域の電波の干渉や、環境側における電波伝搬ロスなどが課題となる。本解説では、このような近々の背景において、KISTEC(神奈川県立産業技術総合研究所）内に開設されたローカル5Gについて、その課題などを含めて紹介してみる。KISTECでは神奈川県内中小企業へのDX(デジタルトランスフォーメーション）支援サービス提供を目的として、2021年3月にローカル5G(Sub6帯）の無線局を開設した。ローカル5Gは最新の無線通信技術を活用して高速·高セキュリティな無線ネットワークを構築できる。KISTEC海老名本部内の図書室(図1)および試作実験棟の3つの実験室に設置したローカル5Gを活用して、これまでに企業や大学と共同研究を実施している。設置したローカル5G基地局は Sub6帯と呼ばれる中心周波数4.85GHz、占有帯域幅100MHzのマイクロ波を用いて規格上最大1.9Gbps(上り·下りの合計）の高速無線通信が可能である。また、スタンド·アローン（SA)構成のため4G通信システムとの連携が不要なシンプルな構成となり、システム全体をKISTEC内に設置しているためインターネット区間の影響を受けないで5G通信を試すことができるシステムにな っている（ビームフォーミング未対応）。