大動脈血栓塞栓症により後肢麻痺を 呈した黒毛和種子牛の一症例

摘要

7日齢の黒毛和種子牛で腸炎の治療を行った翌日から急性の後肢麻痹がル_.じたぃ後肢の冷惑.股则 脈拍動の消失のほか,神経学的検査では脊髄反射および深部痛觉の低卜.または消失を認めた。血液検 查において，CPK, ASTの著しい上昇と白血球の左方移動，BUNとCre, KのしW.を認めた。冷感と 浮腫が時間経過につれて顕著となり，重度の筋壊死と乏尿のため予後不良と推定され，後肢麻痺の発 症から10日後に斃死した。剖検時,腹部大動脈から両側外腸骨動脈にかけての血栓,肾臓の充血とうつ 血，膀胱頭側部の破裂による腹腔内尿貯留がみられ，組織学的検査により大動脈血栓塞栓症と診断さ れた。下痢症に伴う子牛の後肢麻痺に遭遇した際は，本疾患を考慮する必要があると考えられる。