ウォームスプレーTi-6Al-4V皮膜構造がレーザ超音波試験の欠陥検出感度に与える影響

摘要

レーザ超音波発生は表面近傍の現象であるため，CS法やWS法で粉末を軟化させて吹き付けた皮膜表面の状態では，影響を受けると予想される．金属材料の平らな面にレーザパルス光を照射した場合，その吸収深さは数nm程度であり，一方，瞬間的な温度上昇は表面から深さ数μm以内の領域で生じる．このような表面近傍の現象であるため，材料の表面状態がレーザ超音波発生に影響することは経験的に知られているものの，定量的な評価は行われておらず，そのメカニズムは完全には理解されていない．したがって，LUTを溶射皮膜に適用するには，まずはレーザ超音波発生を定量的に観察し，それに基づいて非破壊評価技術およびモニタリング技術としての妥当性を検討すべきである．そこで本研究では，WS法でアルミニウム基材上に溶射したTi-6Al-4Vに対してLUT透過法を用いて材料内を伝搬する縦波と横波を計測し，溶射皮膜が超音波に与える影響を調べた．また，皮膜内に人工欠陥を有する皮膜サンプルに対して探傷試験を行い，溶射皮膜や部材を対象とした非破壊検査としてのLUTの適用可能性を検証した．