スマートテキスタイルの社会実装を目指した 技術·サービス開発

摘要

20世紀後半の人類は半導体を利用した様々なデバイスによって生活の質を飛躍的に向上させた。列車ゃ自動車から飛行機、宇宙ロケットにまで至る移動手段も、冷蔵庫やオーブンから電子レンジ、ミキサーやカッターといった調理器具はもちろん、室内の冷暖房から街灯まで、われわれの身の回りには半導体デバイスが溢れかえり、生活全般を支えている。近年は情報通信機器が生活を便利にするだけでなく、安全·安心のために必要不可欠にさえなり、スマートフォンやスマートウォッチを肌身離さず持ち歩くようにさえなつてきている。とは言うものの、そういったスマートデバイスを利用していない人や、腕時計や眼鏡を使わない人が全くいないとも言えないー方で、極稀な環境下以外では布でできた服を着ていない人はいないと言っても差し支えないであろう。すなわち、どんなに半導体デバイスが人の生活を便利で快適にできても、衣服ゃィンテリアをはじめとする繊維製品なくして人は生活できないのである。一方で半導体デバイスは、その利便性向上を目指し多機能·高性能化とともに小型軽量化を推し進め、ウェアラブル化というトレンドを生み出すに至っている。人が身に着けることにより、ウェアラブルデバイスは装着者のバイタルシグナルをセンシングし、疲労や体調の変化から睡眠の質までをもデータ化し、可視化することによって新たな価値を提供するサービスに用いられている。このウェアラブルデバイスという使用形態は、まさにセンサを「着る」ということを可能にしたことによって実現したものである。そこで既にわれわれが日常で着用している衣服にエレクトロニクスを融合すれば、単にデバィスを付加したゥェアラブル、すなわち「着られる」デバイスを超えて、着ることに違和感のない「ゥエアデバイス」を実現できるということを示唆してもいる。このウェアデバイスを作製するために必要となるのがスマートテキスタイル技術である。