人の命と経済の板挟み

摘要

この原稿を執筆しているのは5月初旬。新型コロナウイルスの緊急事態宣言が発出された4月7日からちょうど1ヵ月が過ぎた頃であり、一部地域で緊急事態宣言解除が検討され始めている時期である。私は30数年前に北海道大学の応用電気研究所生体制御部門に籍を置き、人工心肺装置（現在ECMOと呼ばれている装置）の開発をしておりました。酸素と二酸化炭素が入ったボンベにバルブを付け、三菱電機製のMELCOMという制御用のミニコンピューターで酸素と二酸化炭素の量をコントロールする装置の開発でした。同じ部門内で毎週水曜日に行われる人工心臓開発チームに混じり、実験用の大型犬の静脈から血液を外部に取り出し、人工心肺装置を介し、酸素の量と二酸化炭素の量を生体の状態に応じコンピューターで適正に配分量をコントロールされた血液を静脈に戻す実験でした。