BRCA1またはBRAC2遺伝子変異を有する転移性去勢抵抗性前立腺がんを対象とした

摘要

転移性去勢抵抗性前立腺がん（metastatic castrate-resistant prostate cancer ； mCRPC)の男性の約12が BRCA1およびBRAC2遺伝子変異を有しており，リン パ節転移や遠隔転移を伴うことが多い。本誌2020年8月 号の本コーナーでもご紹介したが，第III相試験である PROfound試験はBRAC1,BRCA2, 4に変異のあ るmCRPC患者にポリ（ADP-リボース）ポリメラーゼ (PARP)阻害薬であるオラパリブ（リムパーザ~R)が, すでに有効性が証明されている卵巣がん，乳がんと同様 に有効であることを報告している（日本ではオラパリ ブはmCRPCへは未承認）。現時点でPARP阻害薬は他 の薬剤との併用療法などの治験が進んでいるが，オラパ リブ以外のPARP阻害薬についても開発が進んでおり， rucaparibはFDAに画期的治療に選定され優先審査のう え2020年5月に迅速承認を受けた注目の薬剤であった。