羊水過少の病因?病態

摘要

ここ数年,母子健康手帳の腹囲?子宮底長が未記入であることが増えてきた.現代産科 診断学では,超音波断層法や胎児心拍数モニタリングが主に用いられ,原始的な「メ ジャーで腹囲,子宮底長を測る」妊婦健康診査は過去のものと思われるかもしれない.しかし,羊水量の異常に気づく可能性がある最も簡単な方法は,「メジャーで子宮底長 を測る」ことである.腹囲は肥満を反映している可能性があるが,子宮底長は子宮増大の 程度を評価するために利用できる.子宮底長が過大であれば羊水過多,過小であれば羊水 過少や胎児発育不全を想定できる.単回での判断だけでなく,妊婦健康診査のたびに子宮 底長を計測すれば,子宮増大の異変に気づきやすい.「母子健康手帳が空欄ばかりでは格好が悪いから,たまには測るか…」ではなく,「メ ジャー越しに羊水量が見える」という意識をもっことも大切と思われる.