STIを見つけたらどうする?

摘要

コロナ禍においても,性感染症(STI)の発症頻度に大きな変化はない。性交渉歴の聴取は正確な診断には重要で,問診の際には「5つのP」を想起しながら行う.代表的なSTIにはHIV感染症，梅毒，性器ヘルペス感染症づ林菌?クラミジア感染症がある.治療効果判定に悩むときには,経験豊富な感染症医にコンサルドする。新型コロナウィルス感染症の流行は，感染症疫学に大きな変化をもたらした 本邦では,空気感染する代表的な感染症である麻疹は2019年に744例報告されたが，2020年，2021年は10例,6例と激減した.同様に飛沫感染する代表的な感染症である風疹は2019年に2,309例報告されたが,2020年,2021年は101例,12例と同様に激減した.一方，性感染症である梅毒は,2019年,2020年，2021年はそれぞれ6,641例，5,872例，7,875例と報告数に大きな変化を認めなかった.米国では，2019年にクラミジア感染症?淋菌感染症?梅毒の報告数が合計250万例以上と6年連続で最多を更新したが，2020年においても淋菌感染症は前年より10増加，梅毒は7増加した.これらのデータより，コロナ禍においても，性感染症(sexually transmitted infections : STI)を診断する頻度はコロナ禍前と大きく変わらないといえよう.