輸血後肝炎の撲滅に向けて

摘要

献血血液のHBVに対するスクリーニングは， 個別NATで血清学ウィンドウ期の，HBC抗 体で既往感染の血液を排除している。現在一 年—に0.8 ~ 0.9例の輸血感染例が確認されて いる。ほとんどが個別NATでも捉えられな い極低濃度のウィンドウ期の血液が原因であ る。感染の原因製剤は，血漿量の多い血小板 製剤や血漿製剤に限られる。遺伝子型はA2 が多く，輸血されてからの潜伏期も長い傾向 がある。HCVはNATウィンドウ期が短く， NAT導入により輸血感染はほぼ撲滅された。 NAT陽性、抗体陰性の献血を精査すると，現 在起きているHCVの感染は，遺伝子型2aが 約半分を占めていることが分かる。2020年 より全国で高感度NATによるHEVスクリ一 ニングを開始した。これにより輸血HEV感 染もほとんどなくなると予想される。これら 肝炎ウィルスのNATスクリーニングの感度 は，原理的にほぼ限界に近いものと言える。