特集のねらい

摘要

胆道?膵臓の疾患は.良性から悪性まで多岐 にわたり，また必ずしも特異的な症状を呈さな いため.専門家であっても診断に苦慮する，あ るいはタイミングを逸することもある.本特集 では「胆道?膵疾患を診る」として，多岐にわた る胆道?膵疾患をいかに見逃すことなく診断 し，適切な病診連携につなげるかという視点で 企画させていただいた.膵がん?胆道がんは，その5年生存率がそれ ぞれ10 ?30に満たない難治がんの代表とも いえる悪性腫瘍である.この二つのがんの予後 が不良である理由は，その生物学的悪性度に加 えて，早期診断が難しい点があげられる.他の 消化器がんでは，胃がんにおけるピロリ菌感 染，肝がんにおける肝炎ウィルス感染など高危 険群に対するサーベイランスが確立されている のに対して，膵がん?胆道がんにおいては高危 険群の設定が不十分である点が課題としてあげ られている.しかし近年になり，膵囊胞?糖尿 病に注目した膵がんの早期診断のための医療連 携が試みられ，その成果が報告されつつある.