環境基準?指針値の設定の現状と今後

摘要

はじめに:環境中の化学物質のリスクとその管理:環境中に存在する化学物質の有害作用から人の健康や生活環境を守るためには,化学物質のリス ク評価に基づく管理が必要である.化学物質の管理手法は，環境への化学物質排出の「後」と 「前」の対策に大きく分けることができる.比喩的に，前者を「出口規制」，後者を「入口規制」と 呼ぶこともある.「出口規制」とは,人の健康などを維持するための望ましい目標として,いわば リスクの程度の指標として,環境媒体中（大気，水など）の化学物質の濃度について環境基準などの 基準値を設定し，その濃度以下に維持するような対策を講じることである.基準値設定は「出口規 制」の中心となる手法である.一方「入口規制」とは，化学物質のリスクを評価し，環境からの曝 露によるリスクが高いと判定された化学物質の製造?輸入を管理?規制することである.