河川流画像計測ソフトウェアの開発とドローン利用への新展開

摘要

近年の洪水災害の頻発は、これまでほとんど被害がなく洪水とは無縁と思われていた地域にも及び、自然災害の脅威をあらためて身近に感じさせるものとなった。このような河川災害の対策には、降雨や流量のような基本的水文（すいもん）量の蓄積が重要であり、多年度のデータがあって初めて妥当な計画を立案することができる。例えば、河川整備計画では20年から30年に一度、河川整備基本方針では100年から200年に一度発生するような洪水を安全に流せるように河川断面の大きさを決めていく。このときの洪水とは洪水時の流量であり、わが国では長年（明治以来）、浮子法により計測が行われてきた。浮子法では、水深に応じて長さの異なる浮子（表面浮子、50cm、1m、2m、4mの長さのポール）を使い分け、流量観測地点として定められている橋などから投下し、下流側100m程度の区間を通過する時間から浮子の流下平均速度を計測する。流量は横断方向の流速分布と流水の横断面積から求められる。しかしながら、従来、浮子はまっすぐ流下するとは限らず、大洪水時には計測作業が危険であり、ピーク流量が欠測となるなどの問題点が指摘されてきた。