高周波電磁誘導加熱を用いた熱可塑樹脂マトリックス炭素繊維強化複合材（CFRTP）のき裂修復: き裂部の自律的選択加熱による“on-Site”型CFRTP修復法の開発: き裂部の自律的選択加熱による“on-Site”型CFRTP修復法の開発

摘要

軽量で高強度であることから注目されている炭素繊維を強化材とした複合材料CFRP（Carbon Fiber Reinforced Plastics）は、大型部材を一体成形した場合に大きな効果が期待できる。しかし、一体成形した部材では、製造時の欠陥や使用時の損傷が部分的であるにも関わらず、全体を廃棄しなければならないというリスクが生じる。CFRPは高価であるうえ、リサイクルが困難であるので、欠陥や損傷を修復しながら長期間使用することが強く望まれている。表面の損傷はパッチ接着による補修が可能であるが、内部の損傷の修復は困難な場合が多い。マトリックスに熱可塑性樹脂を用いたCFRTP（Carbon Fiber Reinforced Thermo-Plastics）は、溶融により樹脂同士や樹脂と繊維を再溶着させることができることから、加熱によりき裂や層間はく離などの内部損傷の修復が可能と考えられる。しかし、マトリックス樹脂の大部分を溶融させると部材形状が保持できなくなることから、型の使用が必要となる。型を使用しない“on-site”型の修復には、不良や損傷近傍を局所的に加熱する技術が不可欠となる。