近代日本の印刷技術書探訪43.『校正の研究』(2)

摘要

本文には，どのようなことが書かれているか(図10)。第1章「校正とは何か」の，冒頭は関東大震災が記述されている。地震で個人の家屋も企業のビルも倒壊し，さらに大きな範囲で火災が発生。それに流言飛語が拡がり，家族や地域が身を守るために竹槍?鉄棒?日本刀を持って，あやしい人影を見つけると私刑に及ぶことさえあった。その状況を救ったのは，東京の各新聞社で，不備ながらも事実を報道することにより，人々を不安から解き放ち，物事を判断できる落ち着きを取り戻させた。この事実は，各新聞社の公的機関としての責務を自覚させた。そして，印刷物の偉大なカを如実に示した。