アルツハイマー型認知症のミエリン仮説

摘要

認知機能低下（記憶障害等）を伴うアルッハイマー型認知症が最初に報告されてから110年以上 になります。この間アミロイド/3仮説をはじめ としてさまざまな仮説に基づく新薬の開発と臨床 試験が試みられてきましたが，未だに治療方法は みっかっておりません。臨床症状や病理学的な変化が現れる以前のアル ッハイマー型認知症患者の脳ではニュ 一ロン変性は認められませんが，オリゴデンドロサイト の異常やミエリン関連遺伝子群の変化はすでに 著しいことから，オリゴデンドロサイト/ミエリ ンが原因解明の鍵となる可能性が近年，報告され ました"。一方，学習記憶とミエリンの関連性が 以前から知られており，学習することによってミ エリンが増強されることや，老齢での認知機能低 下が脳白質の変化と密接に開わっていることから "disconnected hypothesis"という概念も提唱される ようになりました。これらを反映するように昨 今のアルツハイマー型認知症に関する発表論文数 は，白質を対象にしたものが灰白質を対象にした ものの3倍を超えるようになりました。