サックブルード病

摘要

サックブルード病はミツバチの幼虫に感染するウイ ルス病で，蛹化前までに死亡する。サックブルードウ イルス（SBV)は，イフラウイルス科イフラウイルス属 (Iflaviridae Iflavirus)の1本鎖RNAウイルスである。 最も古い記録は，1913年のアメリカでセイヨウミツバ チからの検出とされている。その後，1976年にタイの トウヨウミツバチで報告された。現在は，セイヨウミ ツバチまたはトウヨウミツバチが分布している地域で は普通に見られる。SBVは分子系統解析により2つの 系統に分かれていて，セイヨウミツバチのみに感染し， 重症化するものがSBV,アジアで多く，セイヨウミツ バチとトウヨウミツバチに感染するが，後者のみ重症 化するものがタイサックブルードウイルス（TSBV)と 呼ばれている。国内では，この2つの系統を明確には 区別しないでサックブルード病と呼んでいる。国内の サックブルード病の原因ウイルスに対して分子系統解 祈が行われていないため，SBVとTSBVの浸潤状況 は不明である。ただし，これまでの感染症状から両方 の系統が存在しており，TSBVが優占していると推定 されている。