ポスター講演音楽への選択的注意が引き起こす脳波の引き込み変化とアルファ帯域の空間変調

摘要

ヒトは様々な音の中から1つの音楽や音声に対して選択的注意を向けることができる．音声の呈示下で，注意は音声の包絡線と脳波との相関を強めること，また，アルファ帯域の空間変調に影響を与えることが報告されている．しかし，音楽を複数呈示した時，選択的注意が引き込みや空間変調に与える影響は明らかでない．木稿では，複数音楽呈示下で注意音楽に対する引き込み応答が強くなる，また，注意と連動した空間変調が起こるとの仮説を立てた．そこで，2つのメロディを同時に呈示した際の脳波を解析することで選択的注意の影響を調査した．その結果，音声の知見とは異なり，非注意メロディの包絡線と脳波の相互相関関数で注意メロディ時よりも大きいピークがみられた．また，空間変調を反映する共通空間パターン法によって抽出した特徴量を入力とし，機械学習を用いて注意メロディを推定した結果，参加者15名中11名で100の正解率を得た．よって，音楽への選択的注意はメロディとの引き込みを抑制すること，また，注意に連動したアルファ帯域の空間変調が起こることが示唆された．