透明化技術を用いた光顕?電顕マルチスケールイメージング法の紹介

摘要

要 約:組織透明化技術は,大規模な三次元構造解析を可能にする革新的技術であり,神経回路解析に新たな ブレイクスルーをもたらすと期待される.これまでに多くの透明化技術が開発されているが,その中でもSca/eS 法は高い透明化能力示すと同時に超微細構造を保持する能力も有しており,光学顕微鏡観察だけでなく電子顕微 鏡観察への応用も可能である.我々は,マクロレベルからナノレベルまでのマルチスケールイメージングに最適 化した組織観察技術の構築を目的に,まずはSca/eS法の改良版であるSca/eSF法を開発した.Sca/eSF法は,脳 スライス標本（1 mm厚）を半日程度で透明にすることができ,また超微細構造の保持に優れるという特徴をも つ.次に,光学顕微鏡と電子顕微鏡との両方で目的構造を標識することができるアデノ随伴ウィルス（AAV）ベ クターを開発した.これらの方法を組み合わせ,全脳レベルからシナプスレベルに円滑にズームインする光顕。 電顕マルチスケールイメージング法を確立した.本稿では,その具体的な方法を紹介する.