伝統を「みらい」につなぐ 匠と材料の科学 第5回 大判越前和紙の感性評価と構造

摘要

今回、用いるデータは、和紙の評価のアンケートと紙の繊維の量、そのバラツキです。前回までお示ししてきたものです。図1はアンケートの結果(平均）の例です。質問の項目はQ1：紙の繊維密度(斑な-均等な)、Q2：紙の厚み(バラツキがあるー均ーな)、Q3：紙の透かし具合(斑な-均等な)、Q4：紙の見た目（醜い-美しい）、Q5:紙の強度における質感(弱い-強い)、Q6 ：紙の雰囲気における印象(柔らかい-硬い)、Q7：紙の作りにおける印象(無骨-繊細)、Q8:紙の風合い(柔らかい-硬い)、Q9：紙の好み(嫌い-好き)、Q10:紙の親しみ における印象（冷たい-温かい）の10項目と紙全体の総合評価(悪い-良い)の計11項目です。それぞれ1から7点の7段階で評価していただきました。評価者は、通常和紙作りに従事されている方3名と和紙を販売されている会社の社長さん2名です。和紙作りの方の2名は、伝統工芸士さんです。ある和紙1枚の評価例を表1に示します。