牛の全静脈麻酔法(TIVA)-基礎編-

摘要

牛は他の動物種に比べキシラジンに対する感受性が 高く，少量で不動化が得られることから，多くの国々 で鎮静薬であるキシラジンが麻酔薬として使用されて いる。国内においてもキシラジンは，家畜共済制度に おいて病傷給付が認められている麻酔,鎮静関連薬で あることから，不動化(麻酔様作用）を目的として使用 されることが多い。麻酔に閨する成書において，キシ ラジンは，鎮静処置を目的とした麻酔前投薬であるこ と，または，ケタミンなど全身麻酔薬の補助的な役割 を担う医薬品とされており，単独投与では麻酔作用を 有していないことを知っておく必要がある。ま た，近年では，農林水産省が生産性の向上や安全な畜 産物の生産のため,畜産動物に対する動物福祉（アニマ ルウエルフエア）の考えの普及に努めており，疼痛管理 の観点からも麻酔技術の習得は重要である。